平安 <京都の平生>10

食べ歩き ,

大衆食堂には常として、なぜその名前がついたか判明できぬ料理が存在することがあるが、これがまさにそれである。

鶏の唐揚げに、豆板醤を混ぜた甘酢あんをかけた料理が、なぜ「魔物」という料理名なのだろう?

京都「平安」の裏メニューを、首をひねりながら食べた。

「あの、あまからの門上さんの記事に書かれていた料理、お願いできますか?」
「ああ、まものね」と、老主人はニコニコしながら作ってくれた。

絶対他では食べられないとか、作り方が不思議であるとか、危険な味であるとか、魔物を想像する味ではない。でも、確かに言えるのは、ご飯が猛烈に恋しくなる。

甘くて辛く、酸っぱくてうまみがあり、油淋鶏より確実にご飯が進む。食欲がわく。その辺りが魔物なのかもしれない。

だから魔物を食べた後に「焼きそば定食」も頼んでしまった。

五目あんかけ焼きそばに、炒飯と焼売という炭水化物攻撃の布陣である。

あきらかに食べすぎだが、シュウマイも焼きそばも焼き飯も上出来で、すんなり平らげた