旬の歳時記 馬肉

食べ歩き ,

初めて馬刺しを食べたのは、森下の「みの家」だった。

丸谷才一「食通知ったかぶり」を読んで、たまらず訪れたのである。

馬肉はひんやりと冷たく、舌にぴたりと抱きつき、鉄分の濃い滋味が漲って、思わず「うまいっ」と叫んだ。

馬刺しで飲む酒も痛快である。

心が草原を駆け巡り、軽くなる。

次第に上気していく感覚を楽しむことは、実に悦楽である。

そんな悦楽を求めに「しん」へ行く。

馬刺し、馬バーガー、馬すき焼きで、「ヒヒ-ン」と鼻息を荒くする。