<駅弁勝負> 第27番

駅弁 ,

<駅弁勝負> 第12番

今回は、散々悩んだ。

東京駅の弁当売り場、「祭」で悩み、サウスコートで悩み、グランスタに行って悩んだ。
しかしどうも新商品や未体験駅弁に、気持ちが動かない。

そんな日もある
そこで、間違いない「味の浜藤」が関わった、「海苔弁当」1090円を購入した。

隣の男(推定40歳)は、JR東海パッセンジャーズの「欲張り弁当」である。
イベリコ豚や黒毛和牛、アンデス高原豚や熟成牛の文字が踊る、肉系高カロリー弁当である。
彼は、電車が動いてもいないのに食べ始めた。
この時点で、今日も勝利である。
「イベリコや熟成牛などのブランド名につられて買うな! 敵の思うツボぞ!(敵ってダレなんだ)」 と、心の中で叫ぶ。
東京駅を発車して42分、遠く富士山が見えてきた(ワザとそのためにD席を取った)。

おもむろに海苔弁を開ける。
白滝と野菜の炊きあわせを食べ、極めて質の高い塩鮭に手を伸ばす。
すかさず海苔ご飯。
香り高い山本屋の海苔とにんべんの鰹節にご飯である。
勝ち名乗りをあげながら、食べ進む弁当はうまい。
途中で、海苔とご飯に鮭を参加させて、くるんで食べてみた。
海苔もご飯も、おかかも鮭も、遠く富士山も、笑っていた。