群馬川場村「ベンティノーべ」

川場村そのもの.

食べ歩き ,

アミューズは、山深い川場村そのものだった。
自家製パンの上には、バジルとズッキーニのペースト、アマランサス、ズッキーニの花、フェンネルの花、ナスタチウム、穂高サーモンの燻製が散りばめられている。
マダムが言う。
「近所の農家、はな笑み農家の畑を表現しました」。
食べると、様々な爽やかな香りが交錯しては、鼻に抜けていく。
澄んだ空気が、小さな小さなクロスティーニの上に漂っていて、それが我々の体を潔める。
その中を、マスの脂が駆け抜けた。
この土地のことは知らない。
だが樹々に囲まれた川端村に、迎え入れられた実感が膨らんでいく。
そこには、地元愛などという陳腐な言葉では語れない純粋があった。
この地に生まれ育ち、東京へ、イタリアへ渡り、再び故郷に戻って料理を作る、竹内 悠介シェフの中に根付いている、地元への敬意が静かに息づいていた
群馬川場村「ベンティノーべ」にて。