実は今年、毎月「すきやばし次郎」に出かけている。
今日は念願のイワシがあった。
中盤、冬から晩春なら、サヨリの位置である。
口に運ぶ。
歯が肉体に包まれる。
ああ。繊維がない。
いや繊維はあるのだろうが、どこまでも滑らかで、崩れ、溶けていくように消えていく。
ほの甘い、上品な脂の香りを漂わせながら、酢飯と舞い、消えていく。
あまりのうまさに、目眩がした。
後頭部がぐらりと揺れた。
最後にもう一度イワシをお代わりすると、
「このイワシ、いいでしょう」と、小野二郎さんが、嬉しそうに笑われた。
毎月「すきやばし次郎」
食べ歩き ,