酸味から旨味が現れ、甘みが来て、微かな渋さを伴ったコクが顔を出す。
第二弾の締めは、冷やし中華だった。
トマト水と上湯を合わせたゼリーに麺をあわせ、たっぷりの鮑の肝ソースと雲丹が乗せられ、天には海苔が散らされる。
全体をよくよく混ぜて、麺を啜る。
まず広がったのは、トマトの爽やかな酸味である。
酸味が口を洗ったかと思うと、ゼリーが溶け始め、上湯の深い滋味か、口を満たしていく。
そこへウニの甘みが広がり、海苔が香った赤と思うと、肝のコクが舌を流れていった。
やがてそのすべてが融合し、たなびく。
甘美な余韻は、のったりと、丸く、長く残り続ける。
陶酔しながら、その余韻を消したくなく、酒も水も茶も飲まず、目を閉じながら、余韻としばし戯れた。