《洋食おがた ミーツ サスエ&サカエヤ》VOL2 太刀魚は獰猛な顔つきと乙女の穏やかさがある。

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《洋食おがた ミーツ サスエ&サカエヤ》VOL2
グリングリン。
グリングリン。
その魚を一口食べた瞬間、目を見開いた。
今まで食べてきたどの太刀魚とも違う。
太刀魚は、その獰猛な顔つきとは裏腹に、乙女の穏やかさがある。
噛めばふんわりとして、恥じらうような甘さが溢れだす。
しかしこれは違った。
マッチョなのである。
今まで出会った太刀魚が、書道やお茶を嗜む、うら若き女性だとしたら、これはトライアスロン選手がビーチバレーの選手である。
凛々しくたくましく、歯と歯の間で肉体が躍動する。
グリングリンッ。
「私の肉体を味わって」と、囁いてくる。
脂がたっぷりと乗っているのに、微塵もだれていない。
春の日差しに似た、柔らかな甘みがあるのに、溌剌とした生気に富んでいる。
まいった。
太刀魚の炙り。
以下次号。