天然のアマゴが生んだ子は

食べ歩き ,

天然のアマゴが生んだ子は、河川に残留せず海に出て、サワラ用の網に捕まってしまった。
その希少な瀬戸内のサクラマスを、高松「中川」のご主人が炭火で焼いてくれた。
しなやかな身に脂をじっとりとのせて、ほの甘い身が崩れていく。
太平洋で育ったサクラマスと違い、味が淡い。
しかしその淡さがいじらしく、逆に春という季節の無常を感じさせる。
焼かれた頭も、骨が柔らかく、歯も含めてなにも残すことなく、食べることが出来る。
顔の精悍さの中に秘めた食感の幼さがまた、無常である。感謝。