大井町「永楽」でラーメン600円を頼めば

食べ歩き ,

中野にはこんな店はない。
大井町「永楽」でラーメン600円を頼めば
「そば一丁」。
白い割烹着に白頭巾、赤いエプロンをつけたおばさん店員が注文通す。
数秒火を通しただけもやしのシャキシャキと、やわやわな平打ち麺の対比。
緬はこっくりと醤油味のきいたつゆの、焦しネギの香ばしさと共に登ってくる。
煮豚は脂少なくしっとりと肉の甘みがあって、
煮玉子は、黄身が半熟なんかじゃないもんね。
隣のサラリーマンは、もやしそば。
40代の商売人風夫婦は、奥さんがラーメン。旦那さんが叉焼ワンタンメン。
これってメニューにはないよなあ。
70代の叔母さんが二人入ってきて、席に座るなり「ワンタンメン」を頼む。
60代の男性は、チャーシューメンだ。
すると「赤肉一丁!」と注文通す。
50代の親父はなじみのようで、座るなり「セットとビール」と頼む
つまり餃子とラーメンのことね。
ここに来るお客さんは悩まない。
この店が自分の日常として、親の代から住み着いているのだろうか。
後から来た、ライター風40代は、「新香とビール」。
新香でビールを飲みながら15分。餃子も緬も頼まない。
このままどういう展開になるか見たかったが、次々とお客さんが来るので、席を立った。
先にチャーハン餃子を食べていた30代のサラリーマンが勘定をすると
「ありがとね。お父さんによろしくって伝えておいて」と、おばさん店員がいい。
「うん、おばさんも元気で」。
こんな店中野にない。
新宿にも渋谷にも、銀座にもない。