夜のポテサラ。

食べ歩き , 寄稿記事 ,

夜のポテサラである。

一見清楚なお姿なのに、夜の香りが潜んでる。

芋とマヨネーズの、熟れた甘みを噛みしめれば、いぶりがっこがカリリと当たり、燻製チップスがパリンと弾ける。

燻香が鼻腔に漂よって、気分はすっかり夜となる。

そこへすかさず、塩レモンハイボールを流し込む。

レモンの酸味とソーダの痛快が広がり、たちどころに口は爽やか、早朝高原気分。

ところがどうだろう、飲みこもうとする刹那、ベースのラフロイグが顔を出し、荒々しきスモーキーなピート香と、ポテサラの燻香が手を結ぶ。

再び夜の戸張が降りてきて、辺りは樽蔵のごとく薄暗く、しっとりとした空気に包まれる。

この繰り返し、やめられません。

朝と夜を行き来して、夜の沼地に沈み込む快感が癖になる。

夜のポテサラ。それは酒を愛してやまない、大人たちの特権なのである。

シャンクスにて