「胡月」にやってきた。
なんでも、別府冷麺は、別府市民のソウルフードらしい。
戦後に引き上げてきた人たちが、韓国冷麺を和風にアレンジしたのが、広まっていったということである。
「胡月」の先代が、昭和20年代に始めたということで、駅前の「大陸」とともに別府冷麺老舗とされている。
最もこちらは、2017に一旦閉店し、常連客が味を引き継いで、やられているのだという。
スープを一口飲んで、顔が和らいだ。
昆布や醤油は感じるが、牛肉の出汁なのだろうか。
澄んだ味わいで、塩気も淡く、白い粉の味も感じず、しみじみとうまい。
そして蕎麦粉と小麦粉を合わせたという麺がたくましい。
平壌冷麺を少し太くしたような麺は、コシが凛々しい。
ぐっと顎に力を入れないと、噛みきれない強さを持ち、口の中で30回以上噛まないと消えていかない。
だから一回啜って、15回ほど噛んでいるところへ、レンゲでスープを流し込む。
これがいい。
具は、珍しいキャベツのキムチ(これが別府冷麺の定番らしい)、牛チャーシュー(と言っているが、スネ肉系を茹でたスユク的なもの)、ネギ、胡麻、ゆで卵になる。
韓国冷麺なら、ここに溶き辛子や酢、韓国醤油を入れて味変するところだが、卓上にはなく、一味を入れて味変をした。
とにかく噛む回数が多いので、並でも十二分にお腹が膨れてくる。
そして最後に、もう一口、もう一口と、スープを全部飲み干してしまうのであつた。