今一番救済すべきは鰻屋ではないだろうか。
東高円寺「小満津」ほか多くの鰻屋のご主人は悩んでいる。
鰻自体が高騰して、増々高くせざるをえなくなってきているのだが、高いとお客さんが来ない。
また品薄なため、逆に四本頼んでも1本余計に小さいのをつけてくるという。
「もうどうしようもないとこまで来ています」と、嘆いていた。
鰻の稚魚の減少は、乱獲、密猟、価格操作、非持続的消費システム、資源管理への無策、地球温暖化、日本近海や川の環境汚染、産卵地の南下、海流温度の上昇など、様々な理由があるという。
中でも産卵地のわずかな南下によって、稚魚が海流に乗れずに死亡してしまうことが大きな要因ではないかと推測されているという。
今までお世話になった鰻が高くなったからといって、食いしん坊は足を遠のけてはいけない。そりゃあ一杯の丼物としては高いかもしれない。
でもこんな時こそ食べるのが、食いしん坊の心意気てえもんだ。
「小満津」のうな重は4000円。鰻、タレ、ご飯この三者のどれが突出することなく丸くまとまった、「小満津」らしいすっきりとした味わいである。
万篇返しをして丹念に焼かれたウナギは、焦げが一点もなく美しい。
これが先代「小満津」のおじいさんの味なのだろう。
過剰なうまさではない、粋な味わいが、しみじみとうまい。
今一番救済すべきは鰻屋ではないだろうか
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