交差点は、人と人をつなぐ

日記 ,

交差点は、人と人をつなぐ。
「クロスロード」と名付けられた「ESqUISSE」リオネル・ベカシェフと、「L’Effervescence」生江史伸シェフによる、コラボレーションディナーである。
有名な生江シェフのスペシャリテに、リオネルシェフがソースをそえる
リオネルシェフのスペシャリテに、生江シェフがソースを流す。
一口食べて、鳥肌が立つ官能がそこにあった。
生江シェフのカブのスペシャリテである。
56度でじっくり火をれて、焦がしバターをかけながらソテし、パセリのソースとブリオッシュの砕いたものを添える料理が、今回はリオネル氏が考えた緑の布団に載せられていた。
黄野菜のブイヨンと鶏のブイヨンにグリーンオリーブペースト、パセリ、ヴァン・ジョーヌを混ぜ、ヴェルジュと塩で発酵させたパセリの漬物と乾燥パウダー、さらにカブを発酵させてパウダーにしたものがかけられている。
「L’Effervescence」で食べるそれは、季節季節の生命力を感じて、自然と共に歩んできた日本人としての感謝が湧き上がる。
しかしこれはどうだろう。
ソースとカブを一緒にスプーンに乗せて、カブをかむ。
カブから溢れ出たエキスが舌に流れ、ソースと混じり合う。
発酵した酸味とヴァン・ジョーヌの酸味が、カブに色香をくわえる。
それはまさしく、フランス人の意識ではないか。
どちらも堂々たるたるフランス料理だが、血には抗えない。
どちらのカブ料理もエレガントだが、着た服による心象が違う。
前者は、うら若き女性の楚々とした佇まいの中に、熟した感情を発見して惚れる。
後者は、艶のある服をまとった清楚な女性の、今まで見えていなかった色気の可能性を知って、翻弄される。
料理とは、なんと素敵なものなのだろう。