二日酔い日は、「カレーそば」と決まっている

食べ歩き ,

二日酔い日は、「カレーそば」と決まっている。
それも近所の、どの街にでもあるフツーのそば屋さんで、二日酔いブランチで迎えてあげなくてはいけない。
座るなり、「カレー南蛮をください」と頼む。
出てきたらすぐさま、熱々を一口手繰り寄せる。
熱さとカレー香が、KOされた意識や食欲、味覚や触覚を、たたき起こす。
次に薬味のネギ願をすべてかけ、七味を大量にふって食べ進む。
ここで懸命な読者は気が付いただろう。「手前の黄茶色の粉はなんだ?」
ハイこれ、自家製ガラムマサラなのですね。
シャンカール野口さんのスパイスで作った、「二日酔い撃退用ガラムマサラ」なのですね。
辛味が強く、健胃効果で胃腸を刺激するカルダモンと肝臓を強めるターメリックが多めで、コリアンダーやクミンも入っておりまする。
まあとにかく辛い。香りも激しい。
これをカレー南蛮に入れてあげるわけですから、インドから遠く離れて誕生したカレー南蛮もびっくりするのです。
つまりフツーの、のどかなそば屋さんに、いきなりインド人が押しかけるわけです。
もちろん店主のおじちゃんやおばちゃんは、まったく気づいていない。
一人インド人占拠であります。
かけ出汁にこのガラムマサラは突飛すぎて融合しない部分もあるのですが、もう辛さとスパイス香でその辺りは麻痺して、どうでもよくなってくる。
かくして、大量の汗と涙と鼻水が噴出し、前夜の酒はゆっくりと退散し始めるのです。

ちなみに「それはカレーうどんでもいいのですか」という質問もありました。
ダメです。
化学的には同じ効果でしょう。
でも、細いそばの方がすする時の空気流入量が多く、そのため香りがより増大して襲いかかります。
そのためカレーそばがベストなのです