世界最強のブーダンノワールではないか。
思えば今から30年前、六本木にあったブラッスリーベルナールのランチで食べたのが、最初だった。
それからいくつも食べたが、最近のヒットはオルガン紺野さんが作ったそれである。
その紺野さんに伝授したのが、「Le14e」の茂野シェフらしい。
茂野シェフも作りたがったが、いい豚の血が入らない。
だが今回新鮮な豚の血と豚頭が手に入り、作ったのだという。
新鮮ゆえに、生クリームや小麦粉、野菜など入れずに、豚血と豚頭だけで作ったブーダンである。
表面だけ見事にカリッと焼き上げて、中はふんわりと舌の上で崩れていく。
豚の脂やコラーゲンの甘みが、穏やかな血の鉄分と抱き合いながら広がっていく。
そのうま味は、なんとも優しく滑らかで、口に運ぶ度に笑ってしまう。
ははは。リンゴもポテトもいらない。
焼きたてのバケットにたっぷり乗せて、ほうばりたい。
そしてそのまま気絶したい。