三つ星レストランにふさわしい食材とはなんだろう?

食べ歩き ,

目を閉じると、草原で草を喰む牛がいた。
三つ星レストランにふさわしい食材はなんだろう?
トリュフ、キャビア、フォアグラ、松茸、ふぐ、シラカワ、松葉蟹、ブランド牛肉などを思い浮かべる人もいよう。
しかし岸田シェフは、ミノを出してきた。
おおよそ三つ星レストランには、似つかわしくない。
塊を直火で焼いて、包丁目を入れ、水菜、クレソン、ハッサクなどをのせてある。
そのまま食べると、ミノはほのかに甘い。
草と食べると、その青い香りがミノにたなびいて、より自然になびく。
牛が放牧されて、どっさり草を食べて命を育んでいる。
そんな気分がやってきた。
今度はソースをつけてみよう。
ああ、ソースに含まれる熟れた酸味と熟れた塩気が深みを生み出し、ミノが色気を帯びてくる。
途端にワインが飲みたくなった。
恋を語りたくなった。
これこそがフランス料理である。
ソースの秘密と、すべての「カンテサンス」の料理は、別コラムを参照してください