東銀座「バー木挽町」

ラスティネイル

食べ歩き ,

食後のバーで必ず頼むのは、ラスティネイルである。
1950年代に、NYのバーで生まれたという説のあるカクテルで,直訳すれば、錆びた釘、古めかしいものという意味があるのだという。
おいしい食事の余韻は、やはり甘く過ごしたい。
だからラスティネイルを選ぶ。
大抵は、氷を一つロックグラスに入れてステアし,そのまま出す。
しかしここは、ミキシンググラスに酒と氷を入れてステアリングし、ストレーナーでオールドファッショングラスに注いだ。
しかもベルズは、70年代、ドランブイは60年代である。
古いドランブイは,ただ甘ったるいのではなく、ピリッとしたスパイシーさがあり,微かにカレーの香りも漂う。
それと甘み、ベルズのコクが溶け合って,一口飲んだ瞬間,「うまいなあ」とひとりごちた。
氷を入れてないので,ゆっくり飲んでも薄まることがない。
これこそ気分をうっとりとさせ,脳を甘美な錆でおおう、カクテルである。
バー木挽町にて。