ピエール・エルメ

食べ歩き ,

表参道の「ピエール・エルメ」が、今日から生まれ変わる。
デザインは片山正通、音楽デザインはサカナクションの山口君だという。
「Heaven」と名付けられた、二階の空間がいい。
オープンキッチンになっていて、デセールを作るパティスリーと対面できるようになっている。
彼ら彼女に質問を投げたり、会話を交わしながら、高級菓子を楽しむ。
そんなどこにもない場所である。
そこで新作だという、「デセール・サラ」をいただいた。
エルメが初めて和素材を使ったという、抹茶と栗のデセールである。
抹茶と栗のクリームをいただく。
途端に辺りが茶室に変わったような、日本の甘美がある。
しかし添えられたパッション・フルーツのアイスやソースと食べると、様相が一変する。
藍媚茶色のような渋い色合いの着物をまとった女性が向こうから歩いてくる。
年の頃は30半ばか。
和装が自然に溶け込んだ、しとやかな品が漂う細身の女性である。
しかしすれ違った瞬間、香水が漂った。
ゲランの夜間飛行か。
香りが、彼女が隠した情熱や苦悩を垣間見せる。
やはりフランス人の作る菓子は、エレガントな色気が滲み出る。