ハラミ

食べ歩き ,

岸田シェフは、バベットが好きなのだろうか。
この店で、2回目のバベットである。
繊維に対して直角に、細長く切られた肉は、表面が黒い。
ワインに二週間漬け、カンカンに熱くしたフライパンでソテしたのだという。
ガリッ。
黒い表面に歯が当たる。
しかしそれは焦げではなかった。
赤ワインと牛のエキスが重なり、凝縮したうまみが滲み出す。
そして歯は、ハラミの躍動に包まれる。
歯を押し返すような肉から、どっと滋養が流れ出す。
その対比がいい。
ハラミとはこうして食べるのが、最もうまいんじゃないかとおもわせるコーフンがそこにはあった。
奈良 榛原牛のバベット シェリーリキュールとアルマニャックのソース。
シャトーCLINET 2010と合わせて。
北品川「カンテサンス」にて。
写真はイメージ