~チキンライスのお作法〜
今日の昼は高知駅で駅弁を購入し、南風に乗る。そういう計画であった。
ところが駅の喫茶店に入った途端、「チキンライス」の文字が飛び込んできて、タベアルキストの自我が、崩壊した。
どうしても、なにがあっても食べたい。
それでも5分は悩んだのだよ。
「それでいいのか。常に新しいものに挑むんじゃないのか。食べたいものを食べているようじゃ、タベアルキスト失格だぞ」と、悩んだのだよ。
でも気がつくと、「チキンライス下さい」と頼んでいた。
「たまには衝動につきあうのもいいじゃないか」と、言い訳をしながら頼んでいた。
人間は何かと都合のいいように、自分を正当化するものである。
さて、チキンライス。
ずいぶんとご無沙汰していましたと口に運ぶ。
ケチャップ、ご飯、鶏肉、グリンピース。
想像通りの、裏切りのない、当たり前の味に、顔が崩れる。
僕らにとってこの当たり前は、ご馳走である。
オーイどこにいるんだあと、声をかけないと見つからないほど、鶏肉が少ないのもいい。
だから鶏肉は、勢いよく食べると無くなってしまう。
ご飯と鶏肉グリンピース1個を載せて食べることを、前後半にバランスよく配置することを心がける。
半分くらい食べたところで、味に変化を付ける。
まずはチーズ。
①スプーンにチーズをかけてから、チキンライスを載せる。
②チキンライスを載せてからチーズ。
③チーズを全体にかけて混ぜるという方式があるが、①は、舌にチーズのざらつきが当たってしまい、③は、すべてがチーズ味になってしまうのでお奨めしない。
②が正しい。
次にタバスコである。
ナポリタンと違って、チキンライスはタバスコを受け止める力が弱い。
ゆえに、辛い辛いピラフになってしまうので、チキンライスを三分の一ほど分離させ、皿にタバスコを垂らし、それを少しずつ巻き込んで食べる。
辛いと思ったら、手前の素チキンライスを食べる。
するとケチャップの甘さが際立って、いっそうおいしくなるのである。
ああ、ごちそうさまでした。