世の中にはタルタルソース好きが多いようで、東京でも様々な店がある。

店名にタルタルを冠した店や、タルタル食べ放題をウリにした店、あるいは多種の具材を入れ込んだ、オリジナルタルタルを置いている店など、次々とタルタル愛好者たちを狙い撃ちにしようとしている。

しかし僕は王道から選びたい。

この店は本来とんかつ屋だが、ある日エビフライも注文し、添えられたタルタルソースにハマったというわけですネ。

品があって優しいところに惚れちまいました。

だからたっぷりエビフライにつけても、海老の穏やかな甘味を邪魔せずに、静かに持ち上げる。

その奥ゆかしさに惚れたのです。

ゆで卵の色が濃いのは、奥久慈卵を使っているからであり、喉に落ちた後に爽やかなパセリ香が漂うのは、自家栽培のパセリを使っているからだと聞いたら、ますます惚れちゃうじゃありませんか。

さらに、ディル風味のピクルスの酸味と香りでアクセントを作り、奥能登の塩で味を決め、薄口醤油で旨味を微かに後押しする。

この上出来のタルタルを、太い海老にたっぷりと乗せ、口をあんぐり開けて頬張る幸せは譲れません。

よく海老の甘みよりタルタルの味が勝ってしまう、濃いタルタルもありますが、僕はこの品を買いたい。

でも、タルタルにちょっとだけソースをかけて、品を少しだけ汚す食べた方もたまりません。

最後はご飯の上に、衣のかけらとタルタルを乗せて　フライバラタルタルご飯にしてかき込みます

ああ。カキフライでも、きっと美味しいだろうなあ。

ご飯が進むだろうなあ。

また来よう。