タベアルキをしていると、よくあることである。
ある人をして、「今まで食べた鰻の中で最高」と、言わしめた田代屋へ、尾張瀬戸まで来たのに、臨時休業の紙が貼られていた。
名古屋に戻ろうとも思ったが、瀬戸を探索せよという思し召しなのだと言い聞かせ、やけ食いすることにした。
瀬戸焼きそばは、豚の煮汁を入れてやく独自のものて、冷めてもおいしい、がウリである。
麺細くさらりと炒め、キャベツ以外入っていないシンプルさがいい。
しかし味は濃い。後口にかなり旨味が残る味である。
強いて言えば、うまくしすぎのかんあり。
続いて鰻の夢捨てきれず、魚六で鰻定食。うむこれは、六本物であろう。身が痩せている。
甘めのタレにて、カリカリに焼かれるので、余計に身が痩せ細る。
僅かな鰻の味を、懸命に探し求めて、食べ終えた。
創業150余年の川村屋賀栄の酒饅頭。
あんぐりと口を開けた瞬間に、酒の甘い香りが漂ってくる、香り高い饅頭でアンコもなめらか、しみじみと甘い。
駅ビル内の、どう見てもいい加減な麺しか出していないと思われるうどん屋である。
しかし他店に比べ、次々と人が入っていく。そこにはうどんでも食べるかという、投げやりな感がなく、この店を目指してきましたという気配があって、吸い寄せられた。
自販機で買った券を見せると、厨房のおばさんたちが瞬く間に作り上げる。コロうどんは、太い麺がつややかで、口触りがよく、もちっと歯の間で弾む。
素晴らしい450円。
これが尾張瀬戸の底力か。