センヤイ パッキーマオ千円
「クンメー」は、台湾、韓国、ビルマ、マレーシアなどの民族料理店が立ち並ぶ百人町の一角にある、小体なタイ料理店である。
廉価な価格と、八十種に及ぶ料理が人気で、四席しかないテーブル席は、いつも満席だ。
お奨めする「センヤイ パッキーマオ」は、いわば五目炒めきしめんである。米の麺を使うタイでは、麺の細さによって呼び名が違い、この料理で使うセンヤイは、幅二センチ半ほどの幅広麺を指す。
タイの炒め麺といえば細麺を使った「パッタイ」が有名で、この店でもメニューに「パッタイ」しか載っていないが、「センヤイ パッキーマオ」も、頼めば心よく作ってくれる。(ただしカタカナ通りゆっくり正確に言うこと)
では、なぜあえてメニュー外の品にこだわるかというと、パスタでも濃い味のソースには太い麺が合うように、醤油と砂糖で濃い味をつけたタイ風焼きそばも、太麺、それもソースがよく絡む幅広麺がおいしいからである。
さてこの焼きそばは、海老、豚肉、もやし、ピーマン、玉葱、卵、それに、ブロッコリーとほうれん草の合の子のようなカンラン菜と、赤いタイの唐辛子・プリッキーファーを麺と炒め合わせて調味した料理である。
一口目は甘く、野菜類のシャキシャキした歯触りと、米の麺独特のモッチリとした歯応えの対比が楽しい。ただそれからがご用心。次第に辛さが体中を襲うのだ。
食べ終える頃には、口を半開きにして、ヒーヒーいってしまうが、その辛みや甘み、麺のコシが絡み合う味わいの虜になってしまう。 そして次回訪れたときは、卓上の唐辛子漬ナンプラーをかけずにはいられなくなるほどの、タイ料理好きになっているはずだ。
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