コラボレーションとは、協力・連携・ 共同作業であり、関係を密に取り合って、一つの目的のために一緒に物事をなすことである。
広義の意味ではそうであろう。
しかし我々が本来コラボレーションに望むのは、協力・連携・ 共同作業によって、化学変化が発生し、新たな、素晴らしき天体が生み出されることにある。
才能の出し合いではなく、人間能力が持つ可能性の無限に、喜びを感じることにある。
料理の世界でも、数多くのコラボレーションが行われてきた。
そのすべてに参加したわけではないし、たまたま僕の参加したコラボレーションがそうであったのかもしれないが、コラボレーションという名の下に、互いの料理を披露しあう場が多かったように思う。
せっかくのコラボレーションによる結実が、生まれなかったように思えてしまうことも多かったように思う。
昨夜、「クロスロード」と名づけられた、コラボレーションディナーが行われた。
「ESqUISSE」のリオネル・ベカシェフと、「L’Effervescence」生江史伸
シェフによる、初めてのコラボレーションディナーである。
アップルパイ、ホワイトアスパラガス、蕪、鰆という、互いのスペシャリテに、互いがソースやコンディマンを考え完成させる。
それは、他人が描いた絵に上塗りするようなものであり、他人が描いた文章の上に、新たな文章を付け加えることでもある。
料理人というプライドとある種のエゴをぶつけ合いながら、互いを尊重し料理を完成させていく。
「新しい料理の発見は、新しい星の発見よりも人類の幸福に貢献する」と、ブリア・サヴァランは言ったが、まさに昨日はそれを体現した夜だった。
フィロソフィーも国籍も違う二人が、互いの料理への深い理解と、食材に対する限りない敬愛によって産んだ、一夜限りの料理、真実のコラボレーションが、そこにはあった。
コラボレーションとは
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