北海道豊頃町「エレゾエスプリ」

グランカレオランチャ。

食べ歩き ,

なんという、生ハムだろう。
最初は饒舌ではなく、静かに語り始めた
だが、次第に凛々しさを増していく。
生ハムを広げ、指でつまんで口に運ぶ。
口の中で2〜3回噛んでから、舌と上顎で、押しつぶすように崩す。
まず塩気を感じ、豚が秘めた滋養がぐんぐんと膨らんでいく。
最後のかけらになった時、オレンジの香りが吹き抜けた。
一番稼働する豚肩肉部分を切り取り、オレンジの皮と共に豚の膀胱に包んで、一年寝かした生ハム、「グランカレ」である。
今まで食べたどんな生ハムより、濃密である。
それでいて、今まで食べたどんな生ハムより、きれいである。
色が赤いことからもわかるだろう。
良きご飯を沢山食べ、十分に運動しましたと語りかけてくる、健やかな味わいである。
最後の最後、30数回噛んで、小さく小さくなつても、命の力がある。
やがて喉に落ち、別れを告げる。