カリフラワーが微笑んだ

丸ごとのカリフラワーである。
じっくりローストされて、薄茶色の焦げ色をまとっている。
「ほくっ」。大きく切って口に運べば、白い肢体が崩れ、バラバラになっていく。
その瞬間、カリフラワーが笑ったような気がした。
丸ごと火を入れられて、淡い甘みを大切に大切に膨らました、料理人の敬意に喜んで、笑ったような気がした。
そこにクミンやコリアンダーがかすかに香って、弱々しい甘みに情熱を散らす。
黄色いターメリックとカシューナッツのソースをかけ、レモンを絞れば、さらにカリフラワーのほの甘さが、エレガントに輝く。
何気ないようだが、スパイスの量、周りのザクロや赤タマネギのピクルス、葉類などの量や食感の対比なども、精妙に計算されている。
そして肉や魚がなくともカリフラワーだけで、堂々たる主菜となりうることを証明する。
そのことが嬉しいのだろう。
カリフラワーがまた微笑んだ気がした。
Whole roasted cauliflower with turmeric-tahichi& pistachios 

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