カヌレをこよなく愛すフランス人も、夢にも思わなかっただろう。
この伝統菓子が、遠く日本に渡って人気となり、芋焼酎や抹茶、みかんと結婚するとは。
鹿児島を代表する名ホテル、城山ホテルが作るカヌレである。
ほんのりと芋焼酎が甘く香るカヌレ、知覧茶の高貴さとふくよかさを感じるカヌレ、小みかんの甘酸っぱさが伝わるカヌレ、ほうじ茶の香ばしさが広がるカヌレなど、鹿児島特産のフレーバーを巧みに入れ込んだ六種類カヌレである。
一つ一つに驚きがあり、喜びがあるこのカヌレと合わせるのは、晴耕雨読で知られる名酒蔵佐多宗二が作るLXX(にじゅう)がいい。
菓子に芋焼酎? そう思われる方もいようが、これが見事な出会いを見せる。
焼き芋の優しい甘い香りとコクのある深く丸い甘みがあるこの焼酎だからこそ合うのだろう。
知覧茶やほうじ茶カヌレと合わせれば、茶の香りが優美になって立ち上がる。
中でも合うのは、芋焼酎カヌレで、口の中で混ぜ合わせれば、甘い香りが一気に膨らみ、優雅になって、陶然とさせるのだった。