エロいかき氷

食べ歩き ,

桃色のシロップが、氷の山から滴り落ち、「私を食べて」と、誘ってくる。
桃のシロップは、砂糖の量が精妙で、桃以上に桃である。
食べれば喉が「ごくん」と鳴る。
冷たいかき氷で砂糖の量を決めるのは、至難の技だろう。
桃を裏ごししたものと、シードルでコンポートした桃液を合わせ、砂糖、レモン汁、少量のゼラチンを入れて作られたシロップは、行き過ぎていない。
桃の桃たる良さに敬意を払っている。
食べながら、桃との愛を確認する。
ひんやりと口を満たす液にうっとりとなりながら、目を閉じる。
しかし夢はこれだけでは終わらない。
食べ進めば、炭で熟成させた千年の森のシェーブルが現れ、その香りが桃の色気を膨らます。
「ああ」と思った瞬間。店主の西塚さんは、辰巳蒸留所のラヴェンダーアブサンを吹きかけた。
その途端かき氷は、妖艶となって、夜のしじまに消えていく。
「るぶりん」のエロいかき氷