エレガントなマグロ 2020.03.03 食べ歩き , 東京 , 赤身魚 , すし Tweet エレガントなマグロだった。 口に入れると、繊維などなきかのように崩れ始め、酢飯と抱き合う。 その時、噛むのではなく舌の上に乗せたまま、そおっと上顎に押し当ててみた。 するとマグロは、身をよじりながら、溶けるように小さくなっていき、微かに鉄分の香りを立ち上らせる。 それは大海を勇壮に泳ぎ回った、マグロの誇りなのかもしれない。 「鮨さいとう」にて。