アピシウス。
フォアグラを広め、料理大全を書き記した希代の食通の名を冠したレストラン。
グランメゾン。
欧州文化集積小宇宙。
連続的非日常空間。
開店にあたって、日本に食材がないなら作ろうと牧場を作らせ、4万本のワインストックを誇る。
レストランに対する深い愛情と理解、豊富な資金力、中長期的視野、確固たるグランメゾン哲学がなければできない。
17年前、初めてこの店を訪れた時、帝国ホテルで靴を磨いてもらってから出かけたっけ。
その時、高橋元シェフの「鴨のサルミソース」を一口食べた瞬間、そのまま気絶しそうになったのを覚えている。
「野うさぎの赤ワインと血のソース」。
「真鴨のアルマニャックソース」。
営々と伝えられ、磨きぬかれてきたフランス料理のソースの、偉大さ、力強さ、凄みが深々と胸に突き刺さって、身動きが取れなかった。
「時代に取り残されて、過去の店とされてきた感は認めます」。
オーナーも意識してのリニューアル。
内覧ということで、食事もいただき、普段は見るだけの絵画もガラスも撮らせていただいた。
バーにある ワイエス「ジャックライト」。
この鹿は描かれて程なくして撃たれたという。
これはリトグラフだが一畳近い本物も所蔵しているという。オーナーはこのスーパーリアリズム作家、ワイエスコレクターでもあり、多く飾られている。
お孫さんも来店した。
通路にある、シャガール「恋人たち」。
ビュッフェ。
こんな絵も描いていたんだね。
ユトリロ。
カンジンスキー。
ミロ「ナビゲーター」。
赤の個室に飾られたギヤマン
同室のワイエス、「レッドバーン」。
キャンバス地がそのまま使われている。
ワイエス「鹿のシャンデリア」と海辺。
バカラの巨大花瓶
サン・ルイ
バカラ、バカラ・・・。
マルティグラス。
マイセン。
ふう。
だがホンモノは威圧しない。
安寧を呼ぶ。
サービスも一流。