軽井沢「招福楼」閉店

なにもしてません。

「なにもしてません。炊きたてのご飯です。うちのご飯が柔らかいんは、固いと、今までお出した料理の流れから浮いてしまうからなんです」。

そう言ってご主人は、微笑んだ。

甘い香りをくゆらせて艶艶と輝くご飯を、そっと口に運ぶ。

舌の上でくつろいだ米が、つぶれて甘みを膨らませ、福が体に満ちていく。

生かされている喜びが湧き上がり、思わず、「ありがとう」と口ずさむ。