ただひたすら芹である。
山盛りの芹を食べては、食べる。
根を入れてうなり、茎を入れて笑い、葉を入れて目覚める。
シャキシャキ、ザクザク、クシャクシャ。
シャキシャキ、ザクザク、クシャクシャ。
シャキシャキ、ザクザク、クシャクシャ。
シャキシャキ、ザクザク、クシャクシャ。
歯と歯の間で、芹が踊り跳ねて、命のしずくを絞り出す。
宮城県名取、三浦農園の無農薬で育てられた芹は、しなやかながら溌剌として口の中で躍動する。
生で食べれば、香りが体に精気を放ち、火を通せば、ほのかに甘く、野のありがたみを募らせる。
根の甘み、茎のエキス、葉のほろ苦み。我ここに生きていると、芹が叫ぶ。
それでいて市販の芹にありがちな、筋張ったところがみじんもなく、やんわりと消えていく。
だからいくらでも食べられてしまうのである。
三人で四人前食べても、足りないのである。
しかしぐっと我慢をして雑炊にした。
ふやけた米を噛めば、ほのかに芹の香りがにじみ出て、ああまた仙台に来ようと決心させるのである。
仙台「いな穂」の芹しゃぶ。