丼は得意分野である。
「丼のかっこいい食べ方」や「親子丼における親子の相関関係」、「正統天丼のあり方」、
「丼を食べる男女関係の変遷」、「吉牛の正しい食べ方」などなどを研究してきた。
月に数度は丼を掻き込み、一回は新しい丼に臨む。
で、今月の丼である。
場所は、五反田の焼き鳥屋さん「たかはし」。
昼の「親子丼」850円(鶏スープとお新香つき)をいただいた。
二回に分けて火を通される溶き卵は、ふわりと膨らんだ部分と半熟の生の感触と香りを残した部分が同居した、玉子好きにはたまらぬお姿である。
その玉子には、焼いた鶏の香ばしさが入って、食欲を掻き立てる。
肉は筋肉がたくましく、噛み応えのある肉質で、鶏を食べているぞぉーという気持ちが湧きあがる。
しかも部位が入り混じっているようで、食感の微妙な違いが食べ手を飽きさせない。
甘辛いつゆも東京風にたっぷりと丼の底まで染みている。
さあ後は一気呵成、湧き目もふらずに掻き込もう。
ご主人は以前駒沢にあったフレンチのシェフで、昼に出していた同じギタローシャモのカレーは滅法うまかったなあ なんて前置き話はどうでもいい。
目の前に出された丼を黙って、メシメシと掻き込むべし。