すごい餅である。
焼くと、外皮が煎餅のようになって、パリンッ、バリンッと弾けて、香ばしい。
だが中は、粘りがたくましく、もっちりと唇や歯にからみついてくる。
まずこの対比的食感が、他の餅より明確で、引き込まれる。
伸びるのは普通の餅の方が長く伸びる。
だがこの餅は伸びる繊維が図太く、噛めば強靭なコシが歯を喜ばす。
さらには、米の米たる甘さとうま味がある。
普通の餅だと、何度も醤油をつけたくなるのだが、この餅は餅のうま味だけで自立しているので、醤油をあまり必要としない。
コシが強いので、普通の餅より咀嚼回数が多いことも、この餅の甘みを味わうことにもつながる。
有機米を使い、水を入れずについた餅だという。
米の組成成分は、アミロースとアミノペクチンであるが、もち米はアミノペクチン100%である(うるち米は、アミロースが15〜25%で残りがアミノペクチン)。
きちんと直線状に整列しているアミロースと違って、アミノペクチンは鎖状につながっているので隙間が多い。
そのため、粘るのである。
鎖状でなかなか離れがたいため粘るのである。
だが隙間に空気中の水分が入り込んで、カビがつきやすくなる。
おそらく普通の餅は、つくときに水分を使うので、特有の隙間に水分が入って伸びやすくなるが,その分柔らかくなるということではないだろうか。
色々とやってみたが、この餅は素で焼くのが一番いい。
パキッと割って、醤油をつける。
あるいは塩を振る。
からすみ粉をかける。
バターを挟む。
ああもう止まりません。