名古屋「住よし」

きしめんの噂。

食べ歩き ,

「上りホームより下りホームの方がうまい」。
「新幹線のホームより在来線のホームだね」。
名古屋駅の立ち食いきしめん屋「住よし」に関する評価は、人によって違う。
でも冷静に考えてみてほしい。
同じ会社がやっているのに、味に大差があるわけはない。
一度上りと下りで食べ比べてみたことがあったが、差は感じられなかった。
だがもし時間があるなら、3、4番線の東海道線のホームにある「住よし」を訪れて欲しい。
ここは他店舗と大きく異なる点がある。
天ぷらが揚げたてなのである。
正確には、2度揚げで、一度揚げておいた天ぷらを再度揚げる。
だが揚げ置きは少量で様子を皆がら随時揚げる。
そのため油が酸化しておらず、つゆに溶けたときの塩梅がいい。
もちろん火傷するほど熱々なのもいい。
熱きつゆは熱気を膨らまし、その中を滑らかなきしめんが通っていく。
在来線ホームの「住よし」は、新幹線と違うメニューが二つある。
一つは「ワインコインきしめん」という500円の種物で、薄揚げ天、つまり油揚げの天ぷらが乗るのであった。
油揚げに天ぷら粉をつけてさらに揚げる。
この揚げ揚げという下品さがたまらない。
もう一つは、日本酒、生ビール、レモン酎ハイがあり、つまみも用意されている。
「どて煮」と「天つま」である。
「天つま」は、東京でいうところの「天ぬき」、つまりかき揚げきしめんの、きしめん抜きである。
これで一杯やる。
そば前ならぬ、きし前。
新幹線発車時間の40分前に駅に行き、きし前でいっぱいやってから、ワインコインきしめんで閉めて、新幹線に乗る。
これやめられません。
 
 
「住よし」本社は東京の杉並
「冷やし」の無い冬に、短時間で揚げたて天ぷらきしめんを食べなければならない猫舌派には、「さめたお出汁で!」という裏技がある
夏は天ぷらのコロきしめん