食べた瞬間に、爽やかな風が吹き抜けた。
こんなビフカツサンドは初めてである。
パンをそっと持ち、慎重に齧り付くと、ふわりと歯が包まれる
パンの甘い香りが漂い始めた瞬間、歯はなんの抵抗もなく肉に吸い込まれていく。
ソースの味がほんのり広がると、肉の鉄分がじっとりと起き上がってくる。
しかしこうは書いたものの、それは一瞬の出来事である。
パンの柔らかさと肉の柔らかさがシンクロして、境目などなきかのように合一している。
だから、噛んだ瞬間に慌てる。
旨味の風がさささぁっと吹き抜けて、カツサンドは余韻だけを残して消えてしまう。
肉は150gだというが、このカツサンド3人前は軽い。
軽く食べられる。
それほどに軽やかでエレガントなカツサンドを、ああもう一度食べたい。
「ブリアンツァ」奥野シェフ特製の低糖質パンとその衣、自家製ソースと自家製ケチャップ、そして「サカエヤ」近江牛ヒレ肉にの、1日だけの出会い。
さらにこのカツサンド全体で、ご飯茶碗4分の1程度の糖質しかないという。
それこそが真の贅沢。これからの贅沢だろう。