“こってこって”である。
“クッサ、臭”である。
しかしこの“こってクッサ”こそ、正宗「宇部ラーメン」の正義である。
“こってクッサ”でないと、宇部ラーメンやないと、宇部の人たちは言う。
博多ラーメンより麺は柔らかく、“こってクッサ”で、小倉ラーメンに近い気もするが、少し違う。
油っぽさを緩和する紅生姜が卓上にあるが、「紅生姜を入れるのは博多じゃ」と言って、宇部の人は入れない。
その代わりに、胡椒をどっさりかける。
そしてずるずるっといい音を立てながら、おいしそうに食べる。
僕の目の前に座った、70歳になる親戚のおじさんは、スープを飲み干し、底に胡椒がたっぷり沈殿した丼を置き、「やあ、うまかった」と、嬉しそうに目を細めた。
宇部の「一久本店」にて。