長野の街は、どこも蕎麦屋が多い。
飯田の街も例外ではない。
しかし蕎麦は、痩せた土地に向いている。
飯田市は、広く、日照時間が長く、きれいな水に恵まれていたため、本来は小麦栽培の方が圧倒的に多かったという。
だが今は、うどん屋より蕎麦屋の数が多い。
朝7時に散歩していたら、蕎麦屋を見つけた。
まさに蕎麦職人が、粉に水をかけ、まわしている最中だった。
それをみているうちに無性に食べたくなり、昼を待ち入った。
奥さんだろうか、サービスの女性の声が明るく、ハキハキとしていて心地よい。
ざるそばを頼んだ。
つゆと薬味が運ばれる。
つゆは甘めで、ネギは晒され、わさびは極めて質が高い。
さすが献上わさびを育てている土地柄である。
ざるが運ばれた。
モチっとしたコシで、香りは弱いが、甘みはある。
ものの数分、瞬く間にたぐり、蕎麦湯を飲んで外に出た。