かけそば920円
なによりかけそばがあるのがいい。
ラーメンは具材の多さで値段がわかりづらいが、このかけそば920円というのは、町蕎麦屋、本格蕎麦屋に対する一つの返答だろう。
麺を持ち上げ、箸でしごきながら綺麗に揃えた、盛り付けが美しい。
スープをレンゲで啜れば、こっくりとした醤油のうまみときれいな鶏出汁の滋味が溶け込んでおり、後から鶏油のコクが追いかける。
ネットを見ると、淡麗系ラーメンとあるが、まったくもって淡麗ではない鶏と鶏油と醤油のえまみが、丸く重なって、「どうです? おいでしょう? 」と、畳みかけてくる。、麺は中太ストレート麺で、唇をするんと通り過ぎた後、10数回噛ませる。
やがて麺は別れを告げるが、スープの余韻の中で、ふっと小麦の甘い香りが漂う瞬間に恋をした。
また、ついクセでアクセントの胡椒が欲しくなるが、卓上には一切置かれてないのが、潔い。
ネギもない、胡椒もない。
「麺とスープの蜜月を楽しんでください」。
そんな素直な伝言が、「らぁめんやまぐち」のラーメンにはある
