おくどさんで炊いたご飯に、大原の卵の黄身を乗せる。
だから名前は「君だけを」。
そこにアカヤマドリ茸を炒めて刻んだものと醤油粉、わさび菜刻んだのをのせて出来上がり。
もう黄身を潰すのがためらう美しさだけど、えいやと潰し、よくよく混ぜる。
ふふどうだ。白い米粒一つなきまでよく混ぜた。
いざお椀に口をつけて、掻き込まん。
醤油粉に引き立てられし黄身の甘みが広がって、その後から来るこの色気はなんだね。
ああ茸だ、アカヤマドリ茸だ。
深林の神秘を背負って、君はどうにも香りがエロい。
トリュフとは違うフェロモンでもって黄身と溶け合い、心をじらす。
こんなエロティックな卵かけご飯は、初めてである。
もう。5膳目だというの、さらにお腹が空いてしまうではありませんか。
「草喰なかひがし」のメインデッシュの一つ。
おくどさんで炊いたご飯に黄身を乗せる
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