うなぎのおいしさは、大きさに関わらないと思う。
どちらかというのではなく、それぞれに良さがある。
これは日本橋「はし本」のひねこを使った一番安価な「うな重 い」3520円をいただいた。
松竹梅や、特上、上ではなく「い、ろ、は」と表記してあるのがいい。
大きさを持ち上げるのではなく、「どれもおいしいよ」というメッセージだろう。はたして「うな重 い」は4.8pくらいで(210gほど)、「ろ」の250漁利は小さいい。
その分脂ののり具合も、圧倒されるほどではない。
しかしながら、脂の邪魔されない分、身の繊細な旨みが伝わってくる。
噛めばふわりと崩れるのだが、よくよく噛み締めたくなる。
そしてなにより、尻尾近辺がうまい。
このタイプは、ご飯と抱き合わせて食べるのではなく、うなぎだけを噛み締めてから、すかさずご飯と行くのが美味しい。
そして背側を舌側にするのではなく、腹側を舌側にする方が、より味わいが鮮明になる。
山椒はうなぎにかけずに、ご飯にごく微量、まばらにかける。
うなぎを噛む。タレのしみたご飯を食べる。うなぎを噛む。タレのしみて、山椒が少しかかったご飯を食べるを繰り替えず。
それもこれもこの店の、上質な、硬めに炊かれたご飯があってのことである。
甘いが、甘すぎず、適量かけまわされたタレがあってのことである。
蒲焼の味を一旦切る、最近は見かけなくなった奈良漬があってのことである。
蒲焼ように、淡く淡く仕立てた肝吸いがあってのことである。
そして橋本さんの吟味と、精妙な焼きがあってのことである。
うなぎのおいしさは、大きさに関わらない.
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