「いい焼肉屋かどうかは、盛り付け方でわかるんだよ」
若かりし頃、焼肉の手練れだった先輩から教わった。
きれいに盛られていればいいというわけではない。
各部位ごとに運ばれるが、盛られた肉が同サイズかということが、重要なのである。
焼肉の最終調理は客が行う。
その時に、一皿に盛られた肉の、厚さや表面積の大きさが異なったらどうなるか。
焼き時間や焼き方が違うので、バラバラになってしまう。
ムラができる。
焼く人は素人だからである。
そのため均一化する。
さらには焼きやすいよう、食べやすいように包丁目を入れる。
お客さん本位で考えるとは、こういうことなのかという事実を、僕は渋谷「ゆうじ」で教わった。
この盛り付けてを見て欲しい。
ハラミの美しい切り方、レバーのエッジの立ち方、ホルモンの細かい仕事、小さく切られたたん下でさえ同サイズである。
もう焼く前から気分が高揚する。
いい焼肉屋の仕事を見せられて、食べる前からおいしくなる。
川崎「さわいし」にて。