「私を撮るの? 恥ずかしいわあ。べっぴんさんに撮ってね」。
森岡清さん87歳、梅田食道街「森清」のお母さんである。
若い頃は、薗佳代子に似てると言われ、その太っ腹で明るく、お客さんを包み込む肝っ玉から、京塚昌子とも言われたという。
ビールをお客さんからもらうと、両手でグラスを持って飲みながら、
「ありがとう。ありがとう。これが一番の薬や」と言って笑う。
母子家庭ゆえに、女手ひとつで二人の息子を育て、その息子たちは(50を過ぎているが)
店で料理を作り、サービスをしている。
「こんなありがたいことはない。息子が二人、私とこの店で働いてくれとる。感謝、感謝や。毎朝お天道様に、ありがとうて、手を合わせてますんや」。
彼女の心は、感謝でできている。
商いをできているのも、お客さんのおかげ、来てくれて、私の店を覚えてくれて、ほんまにありがとう。
そんな気持ちが店の隅々まで満ち溢れている。
49年変わらぬ味のポテサラも、ベーブルースが食べたという、49年変わらぬシュウマイも、おいしかったです。
撮った写真を見せたら
「ふふ、これで私も、ちょっとは女性ホルモン出るかな」。