<駅弁勝負 第100番>

駅弁 ,

いつ食べるのだろうか?
他人事ながら気になってしょうがない。
こちらは「大阪竹籠田舎幕内」と、完璧なだけに、やきもきしていた。
推定30代後半男性一人旅である。
明らかに駅弁が入った袋をテーブルに置いた。
取り出したのは、JR東海パッセンジャ〜サービスの「牛めし」である。
牛肉が好きなのね。
やはりお若い。甘辛く、脂っぽいものを求めているのね。
わかるよその気持ちと眺めていたのだが、食べる気配がない。
ジャガリコとコーラの500ccペットボトルを取り出して、延々とやっている。
そのうち寝てしまった。
テーブルの上に置かれた「牛めし」が、寂しそうにしている。
新大阪を出て、もう新横浜ではないか。
こちらはもう二時間前に食べ終えたぞと思っていると、お目覚めになられた。
目の前の「牛めし」をみる。
パッケージを開ける。
眺める。
また閉める。
おい閉めるのかよと思っていたら、再び開け、猛然と食べ始め、五分で食べ終え、品川で降りられた。
もう勝負なぞどうでもいい。
いろんな人がいるなあ。
いろんな楽しみ方があるのだな。
だから駅弁勝負はやめられない。