「瀬里奈」

食べ歩き ,

「瀬里奈」のすき焼きは、まず葱から焼き始める。焦げ目が出るくらいに葱を焼いたらその上に、美しく刺しの入った神戸牛のリブロースをのせる。

直接鍋肌に肉を当てずに柔らかく仕上げ、ネギの香りを付けるためだという。

食べれば、ううむ、神戸牛ならではの品のある甘みが広がって、脂がすうっと消えていく。梅干しの酸味を微かに加えた割下が、さらに脂っぽさを消して、後口が実に軽い。

さらには、その葱がうまいんだな。割下を吸って、くたっと甘く、焦げた香りが食欲をくすぐる。

ザクで面白いのが筍で、甘辛い割下が絡んで酒が進む。しめはうどんもいいが、牧元流玉子かけごはんと洒落てみるのはどうだろう。

新しい玉子を一つもらい、使っていた溶き玉子と混ぜる。そして割下と肉のうま味が残っている鍋へ投入して、玉子とじにするのである。半熟具合が食べごろで、白いご飯にふわりとかけりゃあ、もう笑いは止まりませんぜ、旦那。