「レフェルヴェソンス」の春の一皿

食べ歩き ,

食べながら、海を山を、春の山野を歩いていた。
魚は、噛んだ瞬間に海の豊穣を放ち、我々は恵みの深さに目を閉じるが、コンディマンとして散らされた山菜が、海と森のつながりを教えてくれる。
ほろほろ鳥は、まだ火を入れられたこと知らぬような命の輝きを見せて、我々を勇壮にさせるが、その奥にある柔らかくもつたないような滋味が、鮟肝ソースの曲線と同化して驚かせる。
そこにもまた海と山との、意図的でも恣意的でもない自然が横たわっていて、我々の心をほぐすのである。
「レフェルヴェソンス」の春の一皿。