秋晴れの下で、「ポテサラ運動会」を行った。
正統洋食ポテサラや、居酒屋ポテサラ、バーのポテサラ、進化系ポテサラ、燻製系ポテサラの5選手が、ずらりと並ぶ。
実は各店で作り方を学び、集結させたのである。
勇姿を見せる5つのポテサラを前にして、大いに食べ、語り、飲み、ポテサラ界の明日を望みながら、順位を決める。
こりゃあ楽しいぞ。
なぜこんなことを始めたかというと、私は何を隠そう(隠さなくとも誰も気づかないが)、ポテトサラダ学会会長なのである。
ポテサラ研究歴30数年の会長なのである。
ポテサラを研究対象にしたのは、みんな大好きなはずなのに、軽んじられていて不憫なこと。具材や味の構成が単純なのに、微妙な差異があることが、理由である。。
中でも差異は面白い。芋感やマヨ感の強弱。潰れた芋と潰れていない芋の比率と形状。胡瓜、玉葱、人参、ハム、玉子、果物など具材の構成と形状を、調査すればするほどにはまり、2011年秋に学会を発足させた。
食べ方も研究し、出されたらまず、姿を愛で香りを嗅ぎ、山頂から食べ始めること、芋や他の具が均等に混ざるよう箸でつかむこと。
最後は箸先で、器をぬぐって、キレイに食べ終わるべし、といったお作法も編み出した。
こんな学会の最近のブームが、運動会と銘打った「ポテサラ宴会」である。洋食は、根岸「香味屋」、居酒屋は、青山「ぼこい」、バーは、参宮橋「シャンクス」、進化系は、代々木公園「花とら」、燻製は、渋谷「高太郎」の参加である。
まず、滑らかな食感と味わいで、「香味屋」が先行する。
少し甘みが効いている点も、一同の舌を真っ先に捉えたようである。
続いて「シャンクス」が、いぶりがっこと燻製ポテチのしぶとい香りで、足を伸ばす。
しかし、ラフロイグとのマリージュに酔い、競争なんかどうでもよくなってくる。
そこへ割り込んだのが「花とら」である。
さつま芋と男爵の異なる甘みが交錯する、明朗楽観タイプのポテサラが、豪放に駆け抜ける。
おっと「高太郎」が来た。燻製玉子が芋の甘さを引き立てる。
しかしこいつは燗酒が恋しくなり、飲んでは、歩みが遅くなる。
そして最後、一気に駆け抜けたのが、
「ぼこい」である。芋の甘み、黄身のコク、マヨの味が、見事なバランスで、しみじみとおいしい。この味の均整美こそが、一位の原動力である。
もちろん他店が一位と推す人もいる、しかしいい大人がポテサラを前にして、喧々諤々、談論風発。
これ、かなり楽しいよ。