《洋食おがた ミーツ サスエ&サカエヤ》VOL1

《洋食おがた ミーツ サスエ&サカエヤ》VOL1
京都の洋食おがたで、サカエヤの肉とサスエ前田の魚だけを駆使した料理会があった。
最初は、マメアジのフリットである。
「昨日上がったマメアジです。本当は今朝とれた奴がいいんですけど」。そうご主人は言われたが、想像を絶した。
カリッと衣に歯を立てると、ふんわりとした身に包まれる。
そこからなんとも優しい甘みが滲み出て、口をゆるゆると満たしていく。
いたいけでいて切ない甘みは、小さな魚たちの誇りである。
生命が持つ品である。
腹の微かな微かな苦味がよぎるが、それは甘みに光を照らして、肉の力を輝かす。
今まで生きてきて、マメアジに打ち震えたのは、初めてである。
「お前は今まで、マメアジの何をみてきたのか」。
命の尊さからそう問