<駅弁勝負 第105番>

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今回は時間差勝負となった。
松本駅から「あずさ26号」に乗って、東京駅に向かう。
松本駅で購入したのは、イイダヤ軒の「山賊焼弁当」九百円である。
山賊焼は松本市の名物で、鳥の唐揚げのことを指す。
名の由来は諸説あるが、鶏揚げる→取り上げる→山賊になったという説が強力らしい。
なんか無理があるなあ。
さてこの弁当、迫力がある。
ドーンと山賊焼がご飯の上に乗って、「お腹は空いているか?」と、迫ってくる。
その姿だけで、勝ち名乗りを上げたいところだが、残念ながら昼時なのに、勝負相手がいない。
仕方なく1人で、黙々と食べた。
山賊焼は、添えられた塩とレモンをかけてもいいが、何もかけなくとも十二分にご飯感気力がある。
ただ、ちょいと受け止めるご飯が多い。
わさび漬け、ヤマゴボウ辛味煮、山芋磯辺揚げ、舞茸煮という脇役でご飯の相手をさせても、持て余してしまう。
それゆえに、山賊焼を堪能した後に、皮及び片栗粉が固まって煎餅になったところを集めておき、ご飯にかけ、塩をかけて食べると楽しい。
題すれば「山賊バラご飯」か。
名前だけ見ると殺人事件だが、気分がほっこりと温かくなる美味しさである。
さて勝負相手は、40分後に登場した。
携えていたのは、小淵沢駅の名駅弁屋「丸政」の「高原野菜とカツの弁当」1100円である。
初めての鶏肉対決ではないか。
初めての揚げ対決ではないか。
カツと唐揚げと、鶏肉への手法は違えど、ご飯喚起力は同等である。
しかし相手は、生野菜という武器がある。
何しろ駅弁に生野菜を初めて入れた弁当で、野菜がみずみずしい。
一瞬負けるかと思ったが、相手の食べ方を見て、胸をなでおろした。
いきなりご飯といって、カツに行き、再びご飯からカツといき、半分ほどカツを食べた時点で野菜に手を伸ばしたのである。
お腹空いていたのね。
でも味の淡い野菜を一口食べてからカツと行くのが、正解なんよ。
まあ個人の好みだけどね。
ということで今回の肉肉対決は、引き分けということにしよう。