〈会いたい人がいるから福井〉
80歳になられる,へしこ作りの名人、加藤美樹子さんのへしこ料理をいただいた。加藤さんは今でも,6500本のへしこを作り、完売するという。
加藤さんのへしこは、練れた塩気や熟れたうまみがあって,酒やご飯を呼ぶが,あと口が綺麗で,余分な雑味がない。
「一番好きな食べ方は?」そう聞くと、
「焼いてご飯に乗せて食べるの」と、かわいい顔して微笑んだ。
海のそばなので浜風である。
「浜風が熟成には一番ね」と、誇らしげに言われた。
へしこ作りは、義母が亡くなられてからだという。
そばにいて見ていたから,最初からうまくいった。
コツは,10日間塩漬けして出た汚いエキスを煮て、濾し、本漬けに加えることだという。
「ここに旨みがいっぱいあるからね。義母もこのことを口酸っぱく言っていました。6千も売れるようになって、義母も喜んでいると思う」。
いつまでもお元気で。20年も40年もへしこを作ってください。